想い花をキミに
本当は今すぐにでも言いたい。
今日ね、隼太のお父さんに隼太を諦めるように言われたのって。
でも私は諦めないよ、ずっと隼太と一緒にいるよって。

身勝手な想いだけが溢れだして、私は離れていく彼の背中を追いかけた。

追いついてその背に体当たりするように額をくっつけると、油断していた彼はその勢いでちょっと前のめりになりながら驚いていた。

「私ね、隼太が大好きだよ。」

口にしたのは愛の言葉。

今の私が言えるのはこれだけ。

「隼太の事がね、本当に大好きなの。」

彼の背中から伝わるぬくもりをもっと感じたくて、私はもっと強く額を押し付けながら彼の腰に腕を回した。

すると彼が前に回した私の両手を自分の両手で包み込むと、

「俺もだよ。」

って優しく囁いてくれたの。

この瞬間がいつまでも続けばいいと思った。
いつまでもいつまでも終わることなく、隼太とこうしていたいと願った。
果てしない幸せを感じられる今この瞬間を。

だけど12時の鐘は私の気持ちなんてそっちのけで、無情にも終わりの鐘を響かせる。悲しい音色がそっと耳の奥に響いた。

聞こえてくるのは、「別れよう」と告げた自分の声。











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