想い花をキミに
片手で自転車を押しながら、反対の手で戸惑いがちにプレゼントの包みを持って彼は出てきた。
何度もその包みをひっくり返したりしてるけど、送り主の名前は書いてないから分かるはずない。

もしかしたら私ってばれちゃうかもだけど、もう会うこともないから卒業の記念に今日くらいは私を思い出してくれてもいいよね。

本当に身勝手でごめんなさい。

だけど忘れてほしくなかったから。

私たちの幸せだった時間を、一緒に過ごした思い出を。

彼がしっかりとそのプレゼントを受け取ったことを確認した私は、深く帽子をかぶり直すと、静かにその場を離れた。

高校生最後の彼の姿をしっかりと目に焼き付けながら──。



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