うるさいアドバイスは嫌味としか思えません。意気地なしのアホとののしった相手はずっと年上の先輩です。
・・・・ああ、何だか寂しい。

和央はいつも頼りになったのに。
誰かが横にいたなんて。
嫉妬みたいじゃない?でも本当に寂しい気分。


「で、俺になんて言って欲しいんだ?」

眉間にしわを寄せて言う。

「『俺がいるだろう。』でいいなら言ってやるぞ。」

「そんな問題じゃなくて。ずっと二人姉弟で仲良かったのになあって思ってしまっただけです。」

「『彼女と姉ちゃんは別だよ、家族は永遠だから。』とか、『今までと変わりないよ。』とか、『じゃあ、別れるから、姉ちゃんの方が大切だよ。』とか、言うと思うか?変だよ。どちらかというと母親の気持ちだよ、それは。」

「あ~、そうかも。なんだか親離れされた気分。」

「本当に仲良かったんだな。」

頭に手を置かれた。

横を見る。

まあ、いいか。

充分十分、持ってるんだった。欲しい手はそこにあるからいいか。
珍しく甘えるように腕を回した。

「そう言えば、昨日の昼に迫田と食事をしたんだけど、お前は相当俺の悪口を言ったらしいな。」

「そりゃ、褒めてはいません、一言も。」

「おかげで俺のイメージが変わったとかまで言われたぞ。」

「私のせいだと言うんですか?」

「そうだろう、どう考えても。思い出し笑いをするように言われてみろ。恥ずかしいから。」

「視線でバレる方が恥ずかしいです。今更です。」

「たまにはこっちに笑顔を見せてくれてもいいのに、見てやるのに、笑い返してやるのに。」

無理だと何度も言ってるのに。

「俺もいろいろと教えといたから、今度はお前が揶揄われろ。」

何を言った?

「ツンデレが激しい野良猫みたいなやつだって。手なずけるのにどんな餌が必要かお試し中だって言っておいた。あとは迫田の想像力で理解してくれるだろう。」

「なんかプレゼントをねだってる、金のかかる女のイメージですが。」

「そうは思わないだろう。」

「そうですか?」

「さあ?」

どっちなんだ?

相変わらず違う意味で鬼門になったほうは向かず。ひたすら淡々と仕事をしている。
なかなか新しい企画が来ないのか、独り立ちする事もない。

先輩達からも特に何も聞かれることもなく、言われないままで。
誤解はどうなったのか確かめるなんてことできないからそのまま。

そして嵯峨野さんにもバレた気がしない。
もしかして、本当に何も感じてないのだろうか?
今でも時々教育的アドバイスらしいものはある。
ありがたく聞いてあげてる。

そして少しづつ装いも華やかしている。

誰からも何も言われないけど、ちょっと女子力を上げている・・・・解放しているつもりなのに、本当に全然ってどうなのよ?


まあまあ、いいか。

ちょいちょい頭にきて殴りたくなるし、時々は我慢できずに野生化して反撃するけど、それでも近くにいてくれるんだから。
もちろん飴と鞭のようにさりげなくうまくやってる。
甘えてあげて、躱してあげて、バランスを取るようにしてる。
私の努力によるのだろう、大きな喧嘩はない。

やっぱり『ちょろい』っていいかも。


「ね。」

「何だよ。気持ち悪い笑顔だぞ。」

ハッキリ言われたから、やっぱり手が出た。

「うっ。」

あ~あ。
しっとりした感じの二人にはなかなかなれないらしい。

まあ、そんなのもたまにはいいんじゃない?

すっごく若い彼女だし、ありがたく楽しんで!


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