社宅は社長の家の2階でした【佳作受賞】
そんなの、何の慰めにもならない事は分かってる。

分かってるけど、言わずにはいられなかった。

「のどか。」

「はい。」

「俺が一文無しになっても、のどかは傍にいて
くれる?」

修努…

「社長は、私の初恋をご存知ですか?」

「? いや?」

「私の初恋は、小学1年生の時でした。
相手は、とても優しい通学班の班長さんです。」

「のどか!?」

「きっとその班長さんは、ほんの少しの
お小遣いしか持ってなかったでしょう。
でも、私は好きだったんです。
お金があるかどうかは、人を好きになる
基準にはならないと思いますよ。」

「くくっ
そうか。班長さんだったのか。
ありがとう。がんばれる気がしてきたよ。」

修努は、久しぶりに嬉しそうに笑った。
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