社宅は社長の家の2階でした【佳作受賞】

歓迎会

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歓迎会

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金曜日 19時。

今日は、総務部主催の、のどかの歓迎会。

俺は、主賓席ののどかの隣。

まずは社長挨拶からだと、最初に振られた。

「こちらにいらっしゃる佐倉のどか課長は、
専務秘書、社長秘書などを歴任された秘書の
エキスパートで、私が是非にとお願いして来て
いただきました。
この先、皆さんの中から、佐倉さんの指導の
下、専務秘書や常務秘書が誕生するかも
しれません。
皆さん、佐倉さんと仲良くしてあげて
くださいね。」

続いて主賓挨拶。

「佐倉のどかです。
私は秘書しかやった事がありません。
その他の事は、分かりませんし、できない事
だらけです。
どうかいろいろとご指導、よろしくお願い
します。」

のどかはいつものように綺麗にお辞儀をして挨拶を終えた。


のどかは、俺や反対の隣にいる総務部長にビールを注ぐ。

だから、俺は、のどかにビールを注いでやった。

乾杯をして宴会が始まる。

ところが、のどかは、グラスをそのまま置いて、ジンジャーエールを頼んでいた。

「あれ? 佐倉さん、飲まないの?」

俺が聞くと、

「運転がありますから。」

と答える。

そんなの主賓なんだから、気にしなくていいのに。

「今日は代行をお願いするから、いいよ。
気にしないで飲んで。」

そう言うと、

「ありがとうございます。
では、遠慮なく。」

と、のどかはビールに口を付けた。
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