社宅は社長の家の2階でした【佳作受賞】

連鎖倒産

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連鎖倒産

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翌月、取引先の1つが不渡りを出した。

うちは、その系列会社の全てにネットセキュリティの契約をしていて、売掛金の総額は、1億円を超える。

全てが連鎖倒産して、売掛金を回収できなければ、うちも連鎖倒産を免れられないかもしれない。

その日から、俺は必死で金策に走った。

弁護士と相談し、売掛金の回収に努め、銀行に融資をお願いに行く。

いや、追加融資は無理でも、貸し剝がしは待ってもらえるようにお願いをする。

なんで、今なんだ!?

半年後には、上場して、もっと簡単に資金繰りもできるのに。

損失を埋めるために、新規の顧客を獲得したいが、信用をなくしたセキュリティ会社なんて、依頼するに値しない。


俺は、社長室の机で肘をつき、頭を抱えた。

のどかが、その前にコーヒーをそっと置いてくれる。

「社長、大丈夫です。
きっと何とかなります。
無理なさらないでください。」

のどかが優しく声を掛けてくれる。
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