決して結ばれることのない、赤い糸
壱中に入学できるのは嬉しいけど――。

…眠気にはなかなか勝てないっ。



「朝ごはんもできてるから、さっさと食べちゃいなさい」

「…は〜いっ」


わたしは眠たい目を擦りながら、ようやく布団から出る。


あれだけ眠たくてだらたらしていたのに、新しい制服に袖を通して、鏡の前に立つと――。


「…あっ。中学生だ…」


思わず、そんな当たり前の言葉が口を突いて出てきた。

見慣れないセーラー服姿が、ちょっと恥ずかしかったり。


こげ茶の革製のスクールバッグも肩にかけてみたら、ちょっぴり大人っぽく見える自分が鏡に映っている。

そんな姿を見たら、さっきまでの眠気は一瞬にして吹き飛んだ。


洗面所へ行き顔を洗い、ミディアムヘアの髪をくしで整える。

そして、ダイニングテーブルの上に用意されていたトーストを頬張る。
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