別のお話。
「大丈夫。いま下りるから用意しといて」
ページを捲るのをやめてブレザーを脱ぐ。
「シヅキ、急いでご飯と風呂済ませてくるから待っててくれ」
「ゆっくりでいいよ」
脱いだブレザーをハンガーにかけて部屋をでる。
階段を下りると海がリビングのドアを開けて待っていた。
「春兄おかえりなさい」
「ただいま」
「慌ててたみたいだけど何かあったの?」
「なんでもないよ。海はもう寝るのか?」
「寝ようと思ったけどせっかくだからもう少し後にする。
お母さん。温かい牛乳飲みたい」