別のお話。

「なんだか春人の歌を聴きたいなって」

「なんでだよ」

「春人が歌ってるのを聴きたいのー」

「俺だけが歌うのか?シヅキは?」

「私のことはいいから取り敢えず行こうよ!」

シヅキはパンパンとスカートに付いた土を払い歩きだす。

「いまから行くのか?って、おい!勝手に行くなよ」

「いいからいいから」

この様子だと歌うのは俺なのに、シヅキはそう言いながら足を止めようとはしなかった。
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