別のお話。

「本当に?」

「本当に。

それにもし違ったとして、シヅキは成仏したいんだろう?

なら別にいいじゃないか?」

まただ。

シヅキの深い黒の瞳がじーっと俺を捉えて目が逸らせない。

俺、何か変なこと言ったかな。

特に思い当たる節はないんだけど。

「まあいいや。そうだ春人」

それから俺たちは二時間、一曲も歌うことはせずにただ話しをして過ごした。

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