別のお話。
そう思ったあの日から、俺は人に対して優しさとか思いやりとかを持つようになったんだと思う。
それは間違ったことではないのだろうけど少し失敗したなとは思った。
そう思ってしまったあの日から、俺はどこにいても頼られ面倒事の片付け役としての立場を手に入れることになった。
「いいのよ、隠さなくて。
凪は先輩のものだけど春が凪を愛しく思っちゃうのはそれとは関係ないんだから」
「そんなこと言ってて先輩に怒られないのか?」
「先輩はそんなに心の狭い人じゃないよ。それに春は特別だから」
『特別』凪は昔から俺のことを特別と言う。