別のお話。
そもそも繋ぐ必要があるのか?
そう出かけた言葉を喉の奥に押し込む。
歩きづらいけど、意図も分からないけど、シヅキがそうしたいならそれでいいか。
ご機嫌に鼻歌を奏でるシヅキを見てそう思った。
坂道を登りきるとそこには車が止まっていた。
「誰かいるね」
車の横にはカップルが立っていて、俺は頷くだけで返事をする。
「思ってたより地味だね」
「おまえが来たいって言ったんだろ」
「映画じゃもっと素敵に見えたんだもん」