別のお話。

ーーー

それから日が沈むまで俺たちの間に会話はほとんどなかった。

俺たちはただ訪れる夜を一緒に見ていた。

空が濃いオレンジから深い黒に変わった。

どこまでも広がる家やビルが、その形の代わりに柔らかい明かりを浮かび上がらせる。

吹く風が少しだけ体を冷やす。

そうやって流れていく時間をただ見つめた。

せっかく喋れるようにと人の少ない場所に来たのに、俺たちはほとんど言葉を交わすことはなかった。

ただ隣に座っていた。

シヅキはいま何を思ってるんだろう。

何を見て何を感じているんだろう。
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