別のお話。

「春人」

俺を呼ぶのはここ数日で何回も聞いた声。

すっかり耳に馴染んでいるその声が俺の名前を呼んだ。

「ありがとう」

「お礼を言われるほどのことじゃないよ。

電車に乗れば簡単に行ける」

「うん。そうだね。それでも……やっぱりありがとう」

「どうしたんだ?最近ちょっとおかしいぞ?」

「なんでもないよ」

「本当に?」

「うん」
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