別のお話。

ーコンコン

「はい」

「あら、宿題やってたのね。ごめんなさい」

「別にいいよ。どうしたの?」

「洗濯物しようと思ったら春人のズボンからこれが出てきたのよ」

母さんの手には一枚のメモ書きが握られていた。

それは昨日シヅキの友達からもらったもの。

シヅキの家の住所が書かれた紙。

「忘れてた。ありがとう」

忘れてた。

怪しまれながらもせっかく教えてもらったのに、すっかり忘れていた。
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