蒼の世界を探して





「陸斗…、」


「なんだ、友佳か、どうした?」
大人しい雰囲気の女の子が陸斗に話かける。


「里奈がもう限界みたい。もう相当酔ってるはずなのに、まだ飲むって聞かなくて…。」


「はぁ、またかよ~」


「あと陸斗の言うことしか聞かないって言ってる。」



「行ってきたら?」



「うん。そうした方が良いよ!」



「……ちょっと行ってくるわ」
楓と海結と話してたかったけど仕方ないな…。
何故だか、里奈はいっつも俺に
引っ付いて来るんだよな。
気付いたら隣に居る感じ。










「……里奈、もう辞めとけ」
里奈が持っているグラスを取り上げる。



「えーー?まだ飲む~!」



「良いから、ほら、水飲んどけ!」



「んーー、って、あれ?陸斗だ~~いつの間に!?」



「さっきだよ、友佳困ってたぞ~」



「だって友佳、全然飲んでくれないんだもーん。」



「アイツ、酒弱いだろ。あんまり飲ますな!」



「うーー、じゃあ陸斗、一緒に飲もぉ~?」



「あー、はいはい。分かったから。」
腕を引っ張られ、半ば強制的に里奈の隣へ座ることになった。
あぁもうこれ今日はここの席で終わるなと確信した。
















「すみません、陸斗借りちゃって」
大人しい雰囲気の女の子が話かけてきた。



「!いえいえ、いつでも借りちゃって下さい(笑)」
そもそも私は陸斗とは何も無いので
謝る必要なんて無いのに。



「ふふ、助かります! あの私、友佳(ユカ)って言います。それであの子は、里奈(リナ)。」
金髪の女の子に目線を向けて、そう言った。


「友佳ちゃん? 宜しくね!私は、海結(ミユ)です。」



「呼び捨てで大丈夫だよ?」


「本当?じゃあ私も!そうして?」


「うん! 」

友佳は最初大人しい感じだなと思ったけど、
とっても話しやすくて、可愛い子だなと思った!
守りたくなるような女の子って
きっと友佳みたいな子のことを言うんだと思う!

友佳は楓さんと話始めたので、
その間に御手洗へ行くことにした。









「! ……っ。」
御手洗から出たところの通路で
誰かにぶつかってしまったようだ、



「あ、悪い。」



「い、いえ、大丈夫です。」
綺麗な整った顔立ちの黒髪の男の人だった。



「!ねぇ、君、名前は?」


「!? え? ……海結(ミユ)です。」
じっと顔を見られたのでビックリした。


「へぇ、可愛いな。俺と一緒に飲まない?てか飲も!」



「え?」




「ね?良いでしょ?ちょっと待ってて!」
そう言うとその人は、御手洗へと入って行った。










待ってと言われても…
初対面で…どうしようかな…。
何て考えていると、さっきの人が
思ったよりも早く戻ってきて



「お待たせ、さ、行こ!」



「え、ちょ……」
っと待って?何で私、手を繋がれてるの?
とっさに離そうとしたら更に強く握られて



「だーめ。離さないよ?」



「!!!」
不覚にもときめいてしまった。
これは……ダメだ。











「ここで、一緒に飲も?はい座って座って~」


「え、ここで!?」
案内されたのはソファー席だった。
だけど、既に先客が居るような……?
女の子が5人ほど…

そういえば、このお店は
色んなタイプの席があるんだった…!
私はいつもテラス席に座るから、気付かなかったな。
何だか初めて来たような感覚になるな…。








「ちょっと~!蓮~何処行ってたの!?私と一緒にのむって言ったじゃない!?」

「そうだよ~!私とも、まだまだ飲も~?」

「ずるい!私も飲む~~!」

「ねぇ、今日は誰と一緒が良いの?勿論私だよね?」


「蓮~~。」





「...……………。」
え、何ですか、この席は…。
ハーレム?
綺麗な女の人から、可愛い系の人まで
色んなタイプの女の子が居る…、






「ん~~、今から、俺はこの子と飲むから!君達とはさっきまで一緒だったでしょ?」


「えーー。まだ一緒に居たいよ~」


「また今度ね?もう日付変わってるから、みんなも気をつけて帰るんだよ?」


「うん。」
「はーい。」


あれ?何かあっさりとみんな帰って行った?何で??












「よし、これで誰も居なくなったね!海結、奥に座って~」


「………。」
何だろう。何かもうこれ絶対
逃げられないような感じがしてきた……。







「海結、何飲む?」


「え?……水で良いです。」
もう結構飲んでるから、少し酔い覚ましたい。


「えーー?まだ飲めるでしょ?」


「まぁ、飲めますけど…。飲みすぎてしまうと帰れなくなるので…。」


「えーー?帰らなくて良いよ!朝まで一緒に居よ?」


「!?」
何なんだこの人は!?
めっちゃ口説いてくるんですけど……。
いや断らなかった私が悪いのか…。
何であの時、待っちゃったんだろう…。





「とりあえず、水持ってくるね?」













「はい、これ水ね。」
何だ……ちゃんと持ってきてくれるんだ。
良かった……。
一瞬ホストクラブに来てしまったのかと思ったよ。


「そうだ!まだ俺の名前言ってなかったよね?」



「え、あ、はい。そうですね。」



「俺の名前は蓮(レン)。」



「蓮さん。宜しくです…。」



「うーん、さんなんて要らないよ~!呼び捨てで呼んでよ!」


「え?わ、分かりました。」


「敬語もダーメ。分かった?」


「……うん。分かった。」
…何だろう、何か直視出来ない。
さっき居た女の子達にモテるのが良く分かる気がする。



















「あれ?海結は?」
陸斗がカウンター席に戻ってきて
楓に問いかける。
里奈は寝てしまったようだ。


「そういや、さっきから居ないな……」

















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