爽やかくんの為せるワザ



「……成瀬さんは…」


「……え?」




不意に言葉を発した佐賀くん。

びっくりして隣を見ると、佐賀くんの手は止まっていた。




「期待に応えたいって思って、デザイン係統括してるんだよね……」




がやがやと賑わう周りの生徒の声に掻き消されそうな程の小さな声。

私は少しだけ佐賀くんに顔を近付けて、ゆっくり頷いた。




「そうだよ……。桃ちゃんが私を信じて任せてくれたから、頑張りたいって思ったの」


「……」




佐賀くんはしゃがむ体勢を崩し、その場に座り込んだ。


私も同じように座り込んで、じっと佐賀くんの言葉を待った。



……佐賀くんは、何を伝えようとしてるんだろう。





「僕も……皆の期待に応えたいって思ったんだけど……」


「……」


「……やっぱり、僕なんて暗いし、もっと相応しい人がいると思うと、怖くなってきて……」




ぽつりぽつりと話しを続ける佐賀くん。

その表情はとても苦しそうだった。



……もしかして佐賀くん、ミスターコンのこと言ってる?


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