ラジオ越しのあなたと
隣町まで行き、ようやく公立高校に着いた。

車から降りると前と同じようにお母さんとお兄ちゃんに見に行ってもらった。


もうこれ受かってなかったら、私終わりじゃん


そう思いながらお母さんとお兄ちゃんを待っていた。

時刻はもう11時近く。日がよく出る時間帯だ。

私は駐車場の近くの木陰のベンチで待っていた。


「あの、隣いいですか。」


どこか聴いたことある声だなと思って横を見ると、 そこには真っ白な肌に綺麗な顔立ちの高校生らしき男の子が立っていた。


あまりの綺麗さに私は、


「………」


無言になっていた。


私が見とれてる間にその高校生は困った顔でこっちを見て聞いてきた。


「あの…隣、いいですか?」


私は開き直り、

「は、はい。ど、どうぞ。」

と言った。


「ありがとう。(ニコッ)」

(ドクンッ)

今、ニコッてした。
今、心臓がドクンッっていった。


え、この感情何?


まさか、これが一目惚れっていうやつなの?


ドキドキしながら隣に座っていると、その男の子は本を読みは始めた。


読んでる姿も綺麗…


見とれていると、お兄ちゃんたちが帰って来た。

「南!!合格してたぞ!!!」

「え、あ、ご、合格?!合格してたの?!」

その男の子に見とれていて、一瞬受験のことを忘れていた。

お兄ちゃんたちと喜んでいると、隣にいた男の子がいつの間にかいなくなっていた。

どこ行ったのか探してみるけど、どこにもいない。

名前だけでも聞きたかったのにな…


そう思っているとお兄ちゃんが

「南、何かあったか??」

と不安そうな顔で見てきた。

「ううん!!何もなかったよ!!」

「そっか。それならいいんだ。」

そうだ、喜ばないと。この合格は私にとっては命拾いしたようなものだ。

なのに、こんなボーとしてたらそんなことも言われるはずだ。

あの男の子はたぶん幻覚だったんだろう。
緊張しすぎて、変なものでも見てしまったのだろう。


私は自分に言い聞かせた。


まぁ、合格していて本当に良かった…






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