ラジオ越しのあなたと
広い校舎を歩くと、'生徒会室'と書かれてある部屋の前に来た。


「生徒会長、連れて来ました!」



この人、さっきと声トーンが全然違う。



「どうぞ、入って。」



裕太君の落ち着いた声が聞こえてきた。



「失礼します。」


恐る恐る入ってみると、椅子に座っている裕太君が見えた。



「生徒会長以上で失礼します!!」



「うん、ありがとう!(ニコッ)」


嬉しそうに女の人が帰っていく。


私はドアの近くにうずくまっていた。




すると突然裕太君が話しかけてきた。


「あの、別に怒ったりしないからさ、大丈夫だよ。だからそんな緊張しないで。」



「………………」


来た、王子様対応ー!!!



あの人が声のトーンをあげるのも無理ない。


私は途端に緊張がほぐれ、生徒会長にずっと聞きたかった質問した。


「生徒会長、なぜ私を生徒会室に呼んだのですか?私がさっき言ったことに関係があるのでしょうか。」


聞きたかったことを全部聞いた。


なぜ私をここに呼ぶのか、呼んで何を言いたいのか。全部全部聞いた。


しばらくの沈黙のあと、裕太君が口を開いた。



「君気付いているよね、僕が'日野裕太'だってこと。」



!!!!!!!


う、嘘、ほんとに????!!



裕太君本人が言うのだから間違いない…



やっぱりそうなのね!!!



私は驚きのあまり初対面の裕太君にこんなことを言ってしまった。



「私、日野裕太君の大ファンです!!いつも聞いてます!日野裕太君の会話、声は私の癒しです!ほんとに会えて嬉しいです!!」


少女マンガみたいな展開に興奮してテンパってる私。



会いたかった人に会えた喜びは、愛梨には申し訳ないが、愛梨とクラスが一緒だとわかった時よりも大きい。


ほんとにヤバイ、心臓が弾け飛びそう。


しかもルックスも顔も断然よし。言うことがない完璧な人。


1人で興奮している私に裕太君がもっと興奮させるようなことを言ってきた。



「このことは秘密にして欲しいんだ。僕、ラジオパーソナリティをしてるっていうことを知られるが嫌でね。まぁー君に初めて知られたんだけど。笑笑 だからこれ以上知られないように絶対に秘密にしてくれないかな?お願い!2人だけの秘密!(ニコッ)」



(ドクンッ)




"2人だけの秘密"



ヤバイ、そんなこと言われたら鼻血出る。



「ごめんね、呼び止めて。もう、行っていいよ。じゃあね!」



「はい、秘密は必ず守ります!さようなら!」



裕太君からのお願いは必ず守る。




そう誓い私は裕太君のいる生徒会室を後にした。























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