千一夜物語-森羅万象、あなたに捧ぐ物語-
序章
その男の赤子は、この世に生を受けた時、皆に称賛された。


「なんて目が真っ黒で肌が真っ白で美しいのだろう!この子は当代きっての強い男になるに違いない!」


その女の赤子は、この世に生を受けた時、皆に称賛された。


「なんて肌が真っ白で唇が真っ赤なのだろう!この娘は男の誰もが放っておかなくなる位美しくなるに違いない!」


――この世に生を受けて、大声で泣いた。

大声で泣いて、泣いて、喜んだ。


‟出会う時が来たのだ”と――


それが一体何で、いつ出会うのか…全く分からなかったけれど、とにかく男と女の赤子は別々の場所で生まれ、泣いて喜んだ。


この命を賭して出会わなければならない者が居る。

待っている者が居る。


ずっとずっと、待っていたんだ。


お前は生まれ変わり、どこかで俺を待っている。

捜さなくては。


――何故そう思ったのか分からないけれど、泣いて泣いて――喜んだ。


「お前は次代の百鬼夜行の主だ。すくすく育ち、強くなれ」


…そんなことは百も承知だとも。


「分別がつくようになったら百鬼夜行の生業を教えてやろう」


…そんなことは、知っているんだ。


何故ならば――

百鬼夜行は、俺が始めたのだから。
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