君に心を奪われて

雨と君の秘密基地



花菜side



二学期が始まった。みんなが楽しそうにワイワイ話していることは、体育祭のことだろうか。


一学期の終わりに私達の軍が決まった。私は白軍だった。


私の友達は違う軍になったため、私は軍で一人ぼっちだった。軍の人と話すことなんてなかった。


今日からつまらない体育祭応援練習だ。本当にやる気が出ない。


「白軍団長の加藤翼です。よろしくお願いします」


誰が団長とか応援リーダーとか、別に興味は無い。


嫌でも体育祭を成功させないといけない。本当、面倒臭い。


「辛くても、立ち上がれ僕らの白軍。走り抜けろよ、勝利の日までー」


団長さんの声が聞き捨てにならなかった。すごく歌が上手い。


歌詞を見る限り、良い歌なんだろう。原曲を知りたい。


「この曲は他の軍と違って手作りです。原曲は無いけど、ちゃんと覚えろよ」


団長の言葉を聞いて驚いた。こんな良い感じの歌が手作りだと言うことに。


その歌詞とダンスをなんとか覚えようとしたせいで、急に頭が痛くなった。仕方ないことだ。


涼しい会議室から出ると、窓から暑い日差しが射し込む。暑い……。


次は生徒玄関に向かった。なぜか外に出て練習をすることになった。


こんな炎天下だとやる気がしない。日差しが痛く感じる。


そんなことを思いながら、応援練習をする。本当に面倒臭い。


「ピッピッピーピッピッピー」


もらった笛で団長さんはふざけて三三七拍子を吹いている。この団長さんならやりそうだな……。


「ピー!!」


笛、吹き過ぎ!マジでうるさい!なんてツッコミをしたくなる。まぁ、相手は先輩だから言いませんけど。


笑いが少し零れながら、一日目の応援練習は終わった。



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