君に心を奪われて

王子の甘い溺愛



花菜side



体育祭の次の日からだった。私達の関係が良くなったのは……。


急いで家の玄関から出ると、家の前に翼が立って居た。


「おはよう、花菜」


「おはよう、翼」


お互いに朝の挨拶をしていると、私はお母さんが私達の様子を幸せそうに眺めているのに気付いた。


「お母さん……」


「本当に愛し合ってるのね!見てて幸せだわ!」


私は翼と顔を見合わせると、翼はニコッと微笑んだ。すごくドキドキするよ。


「行ってきます!」


「二人共、行ってらっしゃい」


私達は一緒に学校へ歩き出した。


「花菜、我慢できない……」


「えっ?んっ……!?」


朝からキスをされるとは思ってなくて、私は戸惑った。こんな彼からのキスも幸せだなぁって感じる。


「あの体育祭で告白してたお幸せカップルでしょ?朝からキスって羨ましい!」


「マジで愛し合ってるじゃん!ウチもそんなだったらいいな」


そんな声が遠くから聞こえた。けっこう噂になってるんだね。


ようやく翼は唇を離してくれた。さすがに朝からじゃ心臓に悪いよ。


「やっぱり、花菜が大好きだ」


「えっ!?私も……翼が大好きだよ」


好きを言い合って笑い合えるのもまるで夢みたいなことだった。


私達は、朝から手を繋いで学校へ向かった。


「花菜、ハグしよう」


「えっ!?」


みんなが見てる廊下のど真ん中で、翼は私を抱き締めてきた。恥ずかしいけど、嬉しい。


こうやって君と一緒に居られるのが嬉しい。


「花菜」


抱き締められていたのが離されて寂しくなる。


「また会おうな」


「うん!」


「じゃあな」


「またね!」


大きな幸せを胸に感じた後、私達は別れて自分の教室へ向かった。



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