君に心を奪われて



「翼が事故に遭ったのも早く怪我が治ったのも、翼が知らないうちに自分の運命を変えていたからだ」


「えっ、俺が……?」


「まず俺の予知には元々定められた運命しか来ない。だから俺の予知したのと全く違う運命になったのは翼の力だと思う」


私は二人の話について行けずに立ち尽くしていた。翼は話を理解しているようだった。


「その能力をコントロール出来れば、他人の運命も変えられる。それをすると、自分の生命力が削られるがな」


もしも、誰かの命が危うい時に救ったら翼は死んでしまうということだ。他にも私を翼と同い年にしたら危険の状態に陥ってしまうのだ。


「例えば……花菜さんを翼と同い年にしたら危険だ。お前の生命力が削られる」


「えっ……」


私が考えていた例と同じだった。少し驚いてしまった。


「誰かの命を救えば、お前は死ぬ。人間の病気にかかりやすくなるんだ。白血病とかな」


そんな詳細を聞かされた翼はただ俯いて黙っていた。


「もう帰るぞ」


そう言って翼はお父さんについて行った。私も自分の家に向かった。


翼達は車で帰った。私は雪を潰しながら歩いた。


翼の運命って何だろう。人を救えば自分は死ぬんだ。それ以前に彼は普通の人間ではない。悪魔なのだ。きっと、自分自身のことを知って傷付いているはずだ。


それに比べて私はどうだろう。誰一人も救えず、翼や風間くんに助けてもらってばかりだ。私はただ平凡な日常を流されるように生きている。


「もう、平凡とは言えないか……」


私はそう呟いて空を見上げた。雪が降ってきた。


君はきっと戸惑っているはずだ。一人で押し潰されそうなほど自分自身を怖がっているはずだ。


私は君を救うことは出来ないのだろうか。



私はただ、雪が降る町を歩いていた。




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