限定なひと
「あの、清住くん。一つ、いえ。二つ、確認してもいいですか」
「……二つ、ですか?」
 訝しげに眉をひそめる顔も、一々様になる。
「あの、ここって、どこ?」
「は?」
 彼の間の抜けた声が妙に響く。必要な物しかない極めてシンプルな部屋。だけど、明らかに普通じゃない謎の窓に、さっきからどうしても視線が行ってしまって困る。
 浴室が不自然に丸見えになっているのだ。
「少なくとも、俺ん家ではないですね」
 彼の不機嫌そうな様子に、もう一つの質問をするのが怖くなる。
「で、もう一つは?」
 どうしよう、心臓が、ばくばくいってる。
「私、貴方と、その、……した、の?」
 突如。彼の手が伸びてきて、すっかり冷えてしまった私の肩を鷲掴む。
「今さら、この状況で何言ってんですか」
 そのまま引き寄せられるから、私はつんのめりながらすっぽり彼の腕の中に納まる。程よく筋肉が載っている彼の肢体は、適度に鍛えられているようにも見える。
 そういえば、学生時代はソフトテニスでインカレに出場した、と由美さんが言ってたような。
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