サヨナラから始まる恋
「ごめん、伝えてるつもりだった。俺の中で、千夏のことが好きなのは当たり前だったから……。

でも、そうだよな。千夏にはそんなこと、言わなきゃ伝わるわけないんだよな」


……本当に、そうだろうか?

言われなかったから伝わらなかったのかな?


わたしがもっと自分に自信を持っていたら

彼の優しさを正面から受け止めていたら

言葉にしてもらえなくても、気づけたんじゃないかな。


そして、わたしも彼に、『好きだよ』と言えていたなら。


「龍樹くん ごめんなさい。わたしは、龍樹くんのことが大好きです」


わたし どうしてこんなに大好きな人と離れてもいいなんて思ったんだろう。

どうしてこんなに愛してくれている人が、わたしのことを好きじゃないなんて思っていたんだろう……。


「うん、俺も」

「俺もじゃなくてっ! 聞きたいの」


相当恥ずかしいのか、耳まで真っ赤にする龍樹くんが可愛くて、こんなに幸せな気持ちってあるんだ、と二十八年間生きてきて初めて思った。


「千夏のことが……大好きだよ、誰よりも。この先、千夏だけを愛してる」


この言葉を聞くために別れようと言ったわけじゃないのに、結果的にそうなってしまった。

でも、これでよかったのかな。

わたしは龍樹くんのことが好きで

龍樹くんもわたしのことが好きで

想いがすれ違わずに済んでよかったのかな。


わたしが龍樹くんをぎゅっと抱きしめると、脱力したようにもたれかかってきた。

「はぁ〜っ」

大きなため息。

えっなんでここでため息なの?

ハッピーエンド、めでたしめでたし

じゃないの??
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