臆病な背中で恋をした ~2
3-4
ナチュラルカラーの髪は、軽ろかなマッシュショートで。お化粧も目元と口許を強調してあるくらいで華美じゃない。二重で鼻も高くて、スッキリした美人。歳は亮ちゃんより少し上かも知れない。・・・素直な印象。
ドルマンスリーブのニットに細みのパンツスタイルも、立ち姿がどこか凛としていて、・・・でも大らかそうな笑顔に目を引かれた。

ああ・・・。大人ぽくて亮ちゃんと並んだらすごく似合いそうな人・・・・・・。胸の奥がズキズキと痛む。

「・・・ましも、・・・さん」

その名前をなぞるように呟く。 
すると彼女は、そうなの、と困ったみたいに笑う。

「征一郎さんの義妹(いもうと)になるんだけど一応。その辺はあんまり気にしないでね?」

社長の妹さん。それを聴いて自分には何ひとつ敵うものが無い気がした。

だから亮ちゃんのこともよく知ってるの・・・?
背中の花のことも、『仕事』のことも知ってて・・・亮ちゃんを愛してるの?
だから亮ちゃんも心を許せてるの・・・?
瑠衣子さんなら・・・傍にいてもいいの?

ココロがどんどん闇に飲み込まれて無くなっていく。
そのまま消えていなくなりたかった。 



跡形もなく。ここから。
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