クールな御曹司の本性は、溺甘オオカミでした
疲れた。
めちゃくちゃ疲れた。

ドラマや漫画のヒロインの目の上のたんこぶ的女の先輩役を演じてきました。
はーっ、ぐったりだわ!!

オフィスビルの前まで戻るとちょうど千石くんが出てきたところだった。先週まで忙しかったから、お互い今週は余裕がある勤務だ。定時後1時間以内の退勤は会社もすすめている。

「真純さん、もう帰ったのかと思っていました」

ぱっと表情を明るくした千石くんに詰め寄る私。

「話があるんだけど」

その声の低さは、けして彼を誘惑している雰囲気はなく、『ちょっとツラ貸せや』に聞こえたことは間違いない。
千石くんが笑顔のまま首を傾げた。


会社の近くは問題があるので、東中野方面に向かって歩きながら喋ることにした。
ふたりで食事は金輪際ごめんだ。

「秘書課の横手さんに呼び出されてたんだけど。……こうちゃんに色目使うなって」

私の第一声に千石くんはちょっとだけ目を大きくし、それから残念そうにため息をついた。

「やっぱりデートのお誘いじゃなかったか。そんな気はしてました」
「のんきなこと言わないで。なんなの?結婚の約束をしてるって言ってたわよ!」

それに私が一方的に擦り寄ってるみたいな言い方された!腹立つことに!
私は拒否ってる側よ!
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