深紅の薔薇姫に愛を
沈黙をあたしが破る。

なんか、この空気が苦手だと思ったからだ。

「そんな、話って程じゃないけど。

お前のこと、もっと知りたいって思ったから。」

大河は、あたしの目をみてハッキリいった。

「あたしのことを?」

どうして、知りたいと思うのかわからない。

あたしを気になっている風でもないし。

………そうか、大河はあたしがフラバしたこと知りたいのか。

あたしは、”過去”を話すつもりはない。

あくまでも、あたしは普通のあたし。

「そうだよ。麗薇が知りたい。」

「えっと、あたしの名前は華王 麗薇。16歳。誕生日は11月27日。

星座は射手座で、好きな色は赤。

好きな食べ物はない。

好きな花は深紅の薔薇と、あと青薔薇も好きよ。」

『夢叶う』と『不可能』。

矛盾するそれが、美しいとおもった。

「大河は?あたしも大河が知りたい。」

いや、あたしは知りたいんじゃなくて質問されるのか嫌なだけだ。

あたしに、踏み込んでこないで。

土足で、あたしを荒らさないで。

風が吹いて、彼の髪が揺れる、

「渡瀬大河。」

大河は、それだけいって黙った。

どうして大河から誘ったのになんにも言わないの?

「なあ。」

数分沈黙が続いてやっと、彼が喋った。

「なあに?」

あたしは微笑んで大河をみた。

「俺の仲間とあってくんねぇ?」

仲間って、保健室にいた人たちだよね?

どうしてあたしが会わなくちゃいけないの?

どうして今日は静かなの?

疑問が取り巻く。

「別に、いいよ。」

あたしは微笑み、返した。

それで、あたしに興味が無くなるなら。

笑う顔とは裏腹に、あたしの心は冷めていった

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