深紅の薔薇姫に愛を
「みんな、辛かったんだよ。だから、きっと麗薇の痛みも分かるはず。」

すこしだけ、震えた彼の声。

「でもね、怖くないの?拒絶されたらって。」

あたしのすべてを拒否され、否定されてきたあたしにとって、それはとてつもない恐怖だった。

「怖いよ。だけど、ぶつかるしかないんだよ。」

見上げると、あたしの頬に彼の涙が伝う。

あたしは、それ以上何も言わなかった。

『彼女が遺した最期の思いにきっとあなたも感動する。彼が見つける真実の愛とは
……?』

突然流れた映画の広告を、あたしは切った。

「……真実の愛なんて、クソ喰らえだ。」

大河も、思っていたらしい。

「すこしだけ、もたれかかってもいい、かな?」

「いいよ、」



寂しかった。

辛かった。

容易にこんなことを話されても、引かれるだけだって思っていた。

あたしの話を受け止められる人なんていない。

ただ、孤独に生きるしかないのだと。

「あのね、あたしは今のお母さんの子供じゃないんだよ。、」

今のお父さんの妻は、唯莉と亜衣梨の母親、百合さん。

「あたしの、容姿は亡くなったお母さんにそっくりなんの。」

だから、何度も蔑まれてきた。

「その環境なら、言いたいことはだいたいわかるよ。」

だから、もう言わなくていいと言ってくれる大河に甘えることにした。

「どうして、あたしなんだろう。」

どうして、あたしばかり傷つくの?

あたしはなにもやっていない。

ただ、両親が起こしたことで、あたしが生まれただけ。

生まれたいと願った覚えはない。

こんな思いをするぐらいなら、生まれてこなけ来なければよかった。

誰も、愛してくれない。

それは、人間のあたしにとって、辛いこと。

生きていく意味がないんだもん。

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