深紅の薔薇姫に愛を
寂しかった。

1人じゃ嫌だった。

ただ、単純に誰かに”好き”といって欲しかった。

いつか、あたしの努力を認めて欲しかった。

”愛してる”その言葉が欲しかった。

生まれて、それからあたしには言ってもらったことがないから……。

「麗薇、大丈夫。俺がそばにいるから」

彼はあたしの頭を撫でてくれる。

”そばに居るから”とても安心する。

「……あたしは、1人じゃないよね?」

「ああ、俺がいる。俺たちがいるだろ」

みんながあたしの方を向いて、頷いてくれる。

景色がめくるめく変わる中、こころに芽生えた気持ちは”安心”だった。

「……もう、いいよ。あたし、みんなのこと許すよ」

安心を感じたからか、眠気が襲う。

もう、いいよ。そばに居てくれるなら、昔なんて…

頬に彼の情熱を感じながら、あたしは眠った。

懐かしい、香りを嗅ぎながら。



世界はどうして、こうなんだろう。

愛される人と、愛されない人。

なんでもできる人と、できない人。

なんで、あたしはあたしで……。



『麗薇……』

暗闇から、救い出して。

あたしはこれから、どうすればいいのだろうか。

せっかく乗り越えようと、消そうとした過去がまた、始まるなんて。

こころの奥の奥にしまったこころが……。解放されるみたいだ。

『麗薇のこころに従って。どうしたいの?』

正直、愛なんてわかんない。

”愛する”なんてわかんない。言葉では簡単だ。だから、あたしは漣に振りまいた。

……きっとただ、孤独を埋めたかっただけなのに、

”愛される”ってことも、わからない。

愛を受けたことがないから。

キスをして、手を搦めあって……。それが、恋?愛?



『俺が、お前に全部教えてやる』

そうだ…。あたしは、なんて最低なんだろう。

あたしはずっと、ずっと琉を思っていたのに……。

あたしは漣に、”好き”と言ってしまった。

”愛してる”と、。

やっぱり、あたしには琉しかいないのかもしれない……。

こんな、あたしでごめんなさい……。
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