深紅の薔薇姫に愛を
しばらく、走った頃。

「着いたぞ。」

あたし達はキレイめの建物の前にいた。

シャッターで締め切られている。

…どうやって入んの?

そんなあたしの考えを呼んだのか、漣はこっちだ、といってあたしをまた引っ張っ

た。

そこは建物の脇の部分。

螺旋階段があった。

漣はあたしから手を離すと、そこに登っていく。

……あたしも来いってことだよね。

仕方なくついて行く。

そこは小さな廊下みたいになっていて、ドアが沢山あった。

洋風のドアを開けた漣。

「漣、おせーよ。」

大河の声が聞こえた。

「わりぃ。」

漣が謝るなんて意外で、少し驚いた。

「麗薇、来い。」

なんであたし呼ばれてんの?

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