キミへの想いは、この声で。

──キーンコーンカーンコーン。


「ヤベッ。チャイム鳴った……」


急いで教室戻らねーと。


俺は階段を駆け下りて教室へと向かう。


幸いまだ担任は来ていなくて、ホッと肩を落とした。


「直樹、遅かったな。どうした?」


席に着くと、颯太がやってきて俺に問いかけた。


……早く席つかねーと先生に怒られるのにな。


でも、まー、伝えたいことあったから、ちょうどよかった。


「颯太」


「なに?」


「……サンキューな」


あのとき、俺たちに大切なことを教えてくれて。


「な、直樹が俺にお礼!?

熱あるか!?直樹!」


「そんなんじゃねーから!早く席つけ!」


いつもの颯太は子犬みたいな感じなのに、やるときはやるよなって、改めてそんなことを思った。


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