キミへの想いは、この声で。

『優乃ちゃんが私に鬼をさせなかったのはなんで?』


あのとき、いろは歌をうたっていたのも、私たちの足の上を移動していた人も優乃ちゃんだった。


優乃ちゃんが私に鬼をさせないように仕組んでいたんじゃないかって、そう思ったんだ。


優乃ちゃんに怒っているわけじゃない。


ただ、少し不思議に思っただけ。


……私の鬼運がなかったからってだけかもしれないけど。


優乃ちゃんは一瞬だけ表情を変えると、私に一歩近づき小声でその理由 (わけ) を話した。


「それは……。言い方ひどくなっちゃうけど、茜は声が出せないでしょ?

誰かを遠くで見つけても見つけたって、声に出せないでしょ?

だから、鬼にさせたら困らせると思って、できなかったの……。

ごめんね……、茜……」


申し訳なさそうに謝る優乃ちゃん。

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