キミへの想いは、この声で。

「……なにしてんの、お前」


徳原くんが不機嫌オーラ全開で優乃ちゃんに問いかける。


「いいから、みんなもこの上に手を乗せて」


「えい、えい、おー!ってやるのか?」


なぜか腕まで上下に動かして質問する颯太くん。


「そうそう!」


「めんどくせ……」


徳原くんは怠そうにそう言うと、近くに落ちていたマンガ本を手に取り読み始めてしまった。


「お願い、直樹もやろう!

一回だけ!一回だけでいいから、グループ結成前にみんなで!」


優乃ちゃんのごねり具合に負けたのか、大きなため息をこぼすと、彼は立ち上がり右手を前に出して、優乃ちゃんの手の甲の上に乗せた。


「直樹……」


「一回だけだかんな。

……ほら、颯太も佐藤も早く手乗せろ」


「お、おぅ」


「わ、わかった」


徳原くんに促され、私と颯太くんも同じように手を重ねる。

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