キミへの想いは、この声で。

〝うん。

私も──いい?〟


手話で一生懸命返事をくれる彼女。


だけど言葉の途中で俺の知らない手話があり、読みとることができなかった。


口パクも、上手いこと読みとれなくて……。


「……ごめん。〝私も〟のあと手話わからなかった」


……もっと手話覚えてこないとな。


佐藤さんの返事を待つあいだ、そんなことを考えた。


佐藤さんは俺の言葉に一瞬申し訳なさそうに俯くとすぐに顔をあげ、大きく口を動かした。


わ、た、し、も、そ、う、た、く、ん、って、よ、ん、で、い、い?


──私も颯太くんって、呼んでいい?


それが彼女からの返事だった。


「えっ、うん!

ぜひ呼んでください!」


俺が少しふざけたように言うと、彼女もクスクスと笑ってくれた。

< 93 / 337 >

この作品をシェア

pagetop