チャラめ男子と鈍感女子


さらに彼女たちの怯えた表情が、頭の中の混乱を大きくさせる。



「...片瀬さん?」



ふいに聞こえた俺を呼ぶ声。


そんな呼び方をするのは、一人しかいない。


振り向いた先にいたのはエミリーで....



「今のって、どういう...」


「ゴメン!...これはエミリーの為にした事じゃないから」



エミリーの話す暇も与えず、途中で遮る。


だって勘違いしてほしくなかったから...


そう、エミリーの為にじゃない。


これは自己満足に過ぎない行為だ。


昔の自分を消し去りたくてした事だ。




「ちょっと...一人にさせて」




聞こえたのか分からない小さな声で呟くと、こんがらがる気持ちを整理させたくて、一人でグラウンドから離れた。


< 49 / 247 >

この作品をシェア

pagetop