大好きな先輩は隠れ御曹司でした
17.
その夜、ご機嫌な岡澤の部屋で光希は放心状態で座っていた。

「光希?大丈夫か?疲れた?」

「ーーー疲れたっていうより状況の変化についていけなくて」

はぁっと大きなため息を吐いた光希は恨めしげに岡澤を見上げた。

「大体、展開が早すぎるんですよ。プロポーズの返事をしたらすぐ会長に挨拶で、そのまま若松課長に結婚の報告って。帰りには迎えにまで来ちゃうし」

「だから善は急げだって。それにさ、藤末さん達とのやり取りが結構噂になってたから、これくらいやっといた方が手っ取り早いよ」

少し悪びれずに言われると、もっともだと納得してしまいそうになる。でもそれではいけないのだ。
光希はキッと睨み上げて、語気を強めた。

「そういう事じゃなくて、私の立場も考えて欲しいんです。いきなり先輩と二人で、じゃなくて課長には私から前振りって感じで話しておきたかったし、静香さんにも先に言っておきたかったから」
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