大好きな先輩は隠れ御曹司でした
「だから、俺はオープンにしようって言っただろ?それを光希が強引に約束させるから」

声が不機嫌になったのを察して、光希はしまった、と軽く唇を噛んだ。この話題は光希にとって鬼門なのだ。

「せ、先輩っ!お味噌汁冷めちゃうから、ご飯にしましょう」

急いでご飯とお味噌汁をよそいだす。

「……分かった。さて、何から運ぶ?」

岡澤としても久しぶりに光希と取る食事を空気の悪い中で食べるのは避けたかったのだろう。息を吐いて返事をすると、意識を切り替える。

こういう切り替えの速さも優秀なビジネスマンの証なんだと思う。

罪悪感で小さく痛む胸を無視して、光希もそれに応じた。

「じゃあ玉子焼きとご飯、お願いします」




⌘ ⌘ ⌘




「でもさぁ、せめて呼び方はいい加減変えてよ。いつまでも先輩って、なんか壁を感じるし」
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