大好きな先輩は隠れ御曹司でした
「その様子じゃ。ゆっくりラブラブな週末だったのね」

「静香さん、あの……」

「大丈夫よ。今朝は私達が一番のりだから、誰にも聞かれないわ」

視線でオフィスに自分たち以外にいないことを示すと自慢げに言い切った静香さんに、光希も「はぁ」としか言えない。

実は、岡澤と付き合っている事は勿論、恋人がいる事さえ、光希はオープンにしていない。だから正直、その辺をもうちょっと考慮してくれないかと思わないでもないのだが、いつからか勘付いた静香さんはおかまいなしにイジってくるのだ。

勿論、勝手にバラす事はしないし、恋に不器用な光希を面白がりつつ心配してくれているのも分かっている。



「冴島ちゃんさぁ、まだ公表する気ないの?」

カバンを片付け、仕事の準備をしながら、静香さんがぼそりと聞いてきた。さっきとは違う、真面目なトーンだ。

「そうですね」

同じく仕事の準備をしながら、光希も答える。
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