大好きな先輩は隠れ御曹司でした
曰く、

「明らかに好意ありますって態度取られてもさ、告白されたわけでもないのに断るなんて出来ないだろ。かといって仕事があるから無視するとかも出来ないし。ホント、困るんだよな」

なるほど、と同情する。
職場の人間関係を考えてはっきりした拒絶が出来ないのに、拒絶しないのは満更でもないと受け取られては困るだろう。

「そういう時に、彼女の話題とか出せたらいい牽制になるのに」

岡澤のちょっと責める口調に、光希は申し訳なくなりながら、同時に腹も立つ。

「相手が誰か言わずに彼女がいますって言えばいいじゃない」

「それは無理だよ。言えば誰かって聞かれるし、詮索される。社外の人だって嘘ついたら、オープンにする時に困るし」
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