大好きな先輩は隠れ御曹司でした
11.
英会話スクールのパンフレットを取り寄せ、今度こそ岡澤と会社近くで飲もうと決心した翌週、光希は偶然にもエレベーター前で岡澤と鉢合わせた。

辺りには人もいない。これは直接誘うチャンスか?と心を躍らせた光希に、岡澤がほっと表情を緩めた。

「偶然会っただけでそんな嬉しそうな顔してもらえると安心するな」

「う、嬉しそうって……そんな事……」

感情が表情に出過ぎていたことが恥ずかしくて、ごにょごにょと言い訳をしている光希の頭をポンポンと撫でて来た。

「こないだスーツで出かけた時からちょっと変な感じだったから、不安だった」

「そんなっ!いや、あの、その前にここ会社だから、誰か……」

「誰も見てないよ。ってか、見られても良くない?」
< 79 / 148 >

この作品をシェア

pagetop