Silver Night-シルバーナイト-
怖いわけじゃない。
けれど、何故か近寄りがたくて……
そして彼は何処か妖美に見えた………。
「お前こそ表に出てくるなんて、どんな風の吹き回しだ」
頭上から降ってくる梓の声は、いつも通り冷静で…だけれど少しだけ低く聞こえる。
「あぁ、お前に謝りたくてさ」
「謝るだと」
「馬鹿どもがシルバーナイトに押し掛けたみたいだが、それは俺の指示じゃない。うちの下っ端と傘下の奴らが勝手にやった事だって言っときたくて」
「だから何だ、黒雅がやった事には変わりねェ」
「あぁ、でも一応謝っとく。俺の仕業だと思われたら不快だからさ」
可笑しそうに喉を鳴らしながら優雅に笑うこの人は、一体梓とどんな関係なの……
それにしても、この人ほかの黒雅の人達とはかなり違う雰囲気に見える。
何だか敵意を感じないようにも見えてきた…
それはこの、ゆったりとした話し方のせいなのか……それとも色気のあるタレ目がちな瞳のせいなのか……
だけど、何処にもスキがなくて……爽やかそうに見える雰囲気とは一見、恐ろしいほどのオーラも感じた。