Silver Night-シルバーナイト-
さっきの琉聖の言葉がやけに耳に残った……
『お前が思ってるよりもずっと、人間の身体なんて脆いんだよ』
その言葉が……。
これは琉聖が身をもって体験した心の奥底の声で…そんな辛かったであろう事を思い出させてしまっただけでなく、琉聖にそんな事を言わせてしまった事を深く後悔した。
私は勢い良く立ち上がると、鞄からスマホを取り出してプレハブ部屋から飛び出した。
後ろでは佑衣がビックリしたように「莉愛!?」と名前を呼ぶ声が聞こえたけれど、それを無視して走り出した。
部屋から出て周りを見渡すけれど、そこに琉聖の姿はやっぱりなくて、急いでスマホを手に取るとアドレス帳を開く。
私のアドレス帳に登録されている人数なんかたかがしれていて、すぐ琉聖の名前を見つけるとボタンを押した。
しばらくコール音が鳴り響いた後、ふとその音が途切れるようにして耳には雑音が入ってくる。
「もしもし、琉聖!?今どこ?」
焦るようにしてそう言った私だけれど、向こうからの声は返ってこない。
「ねぇ、聞こえてる?何処にいるか教えて!」
やっぱり琉聖は物凄く怒ってるんだ…もう私となんて話したくないのかもしれない。
無言のスマホの画面を見つめ、胸がキリキリするのを押さえるようにしてソレを握りしめると
「お前、声デカすぎ」
「……え」
「電話通してなくても遠くまで丸聞こえだから」
「琉聖…」
声のした方へと振り返れば、スマホを片手に呆れた表情を向けている琉聖がそこにはいた。