witch
すずねはまだ私が戻ってくると信じているだろうか。
『あの約束』を守ろうとしているだろうか。
だとすればすずねはかなりのバカね。

私は目の前の木々を掻き分ける。
辺りは暗く懐中電灯で照らさなくてはならない。
きっとここは昼でも暗いのだろう。
生い茂った木が日の光を遮っているに違いない。

しばらく進むと小さな箱のようなものが見えてきた。
茶色の木箱は朽ち果てて今にも壊れそうだった。
私はその箱の前に座ると服のポケットから出した鍵を箱の鍵穴に差し込む。

ごめんね、すずねもう『あの約束』は忘れてね。
私はもうあなたと友達じゃない。
私はあなたを裏切ります。



箱を開けると暗い光が溢れ出す。
真っ黒な光が私を照らす。
あの話は本当だったようだ。
私は達成感を感じた。


私の心に罪悪感などなかった。
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