witch
「ねぇ、そろそろ体育館行く時間だって!」
こまりは私にそう言うと、座っている私の手を強く引っ張る。危うく転けそうになった。
こういうことをされても許せるのはやっぱりこまりだからだ。


私とこまりは生まれたときからずっと一緒にいた。
私たちの母親同士が、学生の時からの友達でずっとこの
広浜町に住んでいる。
しかも家も近くだったため、よく一緒に話していたらしい。だから娘の私たちも仲良くなるのに時間はかからず幼稚園や小学校も同じだったため気付けば一番の親友になっていた。



始めて見る広浜中学校の体育館は息をのむくらい大きかった。壁には花などの装飾がいっぱいあった。
ふとこまりの方に目を向けると彼女は何かを見つめていた。その視線の先には、一人の男子が寂しそうに座っていた。
その男子の表情とは裏腹に彼女の表情は明るかった。

私の心の何かがざわついた気がした。
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