困難な初恋
1.最低なゲーム
女は追いかけてくるもの。
本気になることなんてない。

そう、思っていたから

まさか、自分がこんなに後悔することになるとは思わなかった。

 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

こんなことを言うと敵を作りやすいとは分かっているが、

生まれた時から、外見で困ったことは無い。

父親も母親も綺麗な顔をしており、

俺自身も端正な顔立ちで、小さい頃から「かわいい」「天使みたい」、

中学校では全学年の3分の1には告白された。

だんだんそれがおっくうになっていき、せっかく話しかけてくれる子にも冷たい態度をとるようになったのは中学生くらいの頃からだっただろうか。

有難くも幼い頃からつるんでいる奴らがいたので、孤独感を感じることは無かったが、

「あいつ、人の彼女とりやがって」「顔だけ」「性格悪い」など、
批判が耳に入ることも多かった。


それが元来の負けず嫌いとあいまって、勉強もスポーツもめちゃくちゃ頑張った。

おかげで全国で名前の知れている大学にも入れたし、
それなりに持っているコミュニケーション力も活かして、
今は大手の広告会社で営業として勤務している。

成績は上々、前期は最優秀社員賞を授与された。

 
順風満帆だねって?もういい?

まぁまぁ聞いてくれ。

 

そんな俺も悩みはある。

人を好きになれない・・・というとなんだかよくある陳腐な話になりそうだが、

結局男は追いかけたい生き物。

「かわいい」「いい子だな」と思っても、

目が合ったら次の日には連絡先を聞かれる、みたいな生活を送ってみろ。

なんだか、本当は大切なものでも、そう思えなくなってくる。

両親が俺が小学校の頃にさっさと離婚して、母方に引き取られ、

シングルマザーとして仕事にも精を出し、役職つきの母親が、
入れ替わり立ち代り彼氏と作っているのを見てきたのも原因かもしれない。


まぁ、同情をされたい訳ではないが、

そんな俺は大学でも、社会人になってからも、所謂、最低な「ゲーム」の常連となっていた。

< 1 / 38 >

この作品をシェア

pagetop