あの駅でもう一度、君を待つ。


数分経った頃、また同じような音楽が流れて来た。


ハッとして顔を上げる。


電光掲示板を見ると、もうすぐ電車が来るとのことだった。



私のこれからやろうとしている行動は、確かに他の人に迷惑がかかる。
でも、神さまは私にここまで仕打ちを打たせた。最後くらい、他の人に迷惑かけてもいいじゃない。


「大丈夫」


目をつぶる。


さっきと同じようにゴオオオッと風が吹いていく。


目を開けると、電車が奥から来る様子が見える。


貴子おばさんとも、もうお別れ。もう恐怖とはさよならなんだ。


……お母さん。お父さん。やっと今から会えるよ。





ガタンガタンガタン–––––。



私の気持ちなんてどうでもいいように無機質な音が耳を通り過ぎてゆく。



どうしてかな、目からはなぜか涙が流れて。

私のほおをそっと濡らす。











私は、近くなる電車の音を耳にしながら、そっと空中へと身を預けた–––––。
< 5 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop