凛々しく、可憐な許婚
再会
光浦咲夜(みつうらさくや)25歳。

私立このはな学園高等学校の国語教師。

今年で4年目。

この春から、文系特進科2年4組を受け持つことになった。

女子21人、男子14人の大学進学クラスか,,,。

「最善を尽くします」

咲夜は、学園長から辞令を受取ると、真っ直ぐな姿勢で綺麗にお辞儀をして学園長室を出ようとした。

そこへ、入り口のドアがノックされる音が響く。

「入りなさい」

そう返事をした学園長は、鈴木道実(すずきみちざね)、56歳。創設者の曾孫で4代目だ。

カチャっと、ドアが開く音がする。

入って来たのは、

175cmくらいで細身だが程よく筋肉のついた男性。サラサラの前髪と切れ長の瞳が綺麗な顔だちを際立たせていた。

"す、鈴木先輩,,,?!"

咲夜は一瞬、両目を見開きそうになったが、それもほんの一瞬のことで、いつもの穏やかな微笑みに戻った。

内心は胸の鼓動がおさまらなかったが、咲夜が人前で感情を表に出さないのはいつものこと。

「光浦先生。こちらは、このはな学園高等学校横浜校から異動してきた化学教師の鈴木尊(すずきたける)先生だ」

このはな学園高等学校は都内と横浜に2校あり、横浜校ではサイエンス科や工業系の学科があり専門的な学問が履修できる。

両校間で稀に異動があるとは聞いていたが、両校共に専門性が高いので、あまり一般的ではないと聞いていた。

「知っているかもしれないが、尊は私の息子だ」

学園長が微笑む。

"そんなの初耳,,,"

鈴木という名字は全国一多い。

"鈴木先輩"がこのはな学園高等学校の卒業生ということは知っていたが、咲夜はこの学校の卒業生ではないし、尊が学園長の息子だなんてことも知らなかった,,,。


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