凛々しく、可憐な許婚
一人、また一人と生徒たちが脱落していき、射場に残ったのは、やはり、尊と咲夜だった。

ここまで12本全て皆中。

顧問二人が弓を構え、矢を射る姿に、生徒たちは釘付けになっていた。

二人とも容姿は抜群にいいが、何より、弓を手に佇む姿は絵画のように美しい。

本当は物音をたててはならないのだが、いつの間にか弓道場に入ってきていた道実学園長が、一眼レフカメラとスマホを交互に構えている姿が見られた。

「が、学園長,,,」

「しぃー,,,!」

気付いた生徒が声をかけるのを学園長が嗜めた。

そんな様子を気にとめることもなく、前立ちをしている咲夜から先に矢を射る。

真剣な眼差しにぶれない射形。

吸い込まれるように矢が的にあたった。

"鋼の姫"は今日もぶれない。

しばらくすると、尊がゆっくりと弓を打ち起こす。

優雅な動作に誰もがみとれる。

まさに"王子"。

綺麗な"会"の状態(弓を引ききった状態)から矢が放たれる。

その矢は的の中央にあたった。

さらに12本繰り返したが結局、決着はつかない。

「これ以上続けると生徒の練習の邪魔になる。ここまでだ」

試合の終了を告げたのは、道実学園長だった。


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