主任、それは ハンソク です！

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＊

「んじゃ、お二人とも、今夜もよろしくいたしてねぇ～」
「も、もうっ！　カジタツさんってばっ」
「何か困った事があったらいつでも、連絡してくれればいいから」
「本当に、遠慮しないでね」

　玄関先で、強かに酔っぱらったカジタツさんの暴言を抑え込むチコたんご夫婦と、さりげなく美知留さんをエスコートする清住さんご夫妻が、それぞれ、それらしいエールを送ってくれた。

「もう、いいから、お前らとっとと帰れっ！」

　主任の大声に、思わず私の身体が跳ね上がる。

「ああっ、すまないっ」
「い、いえ……。大丈夫、ですから」

　二組のご夫婦が私たちのやり取りに、ニンマリと笑ったのがしっかり見えて、私はなんだか居たたまれない気持ちになる。

「あ、そうだ。明日、俺の方から派遣会社に例の件、伝えておくから」
「おお、すまない、キヨス」

　何だかちょっと気になる話。
　清住さんと主任を見上げると、主任が私の頭をポンポンと撫でた。